外付脳内そっ閉じメモ

脳内に澱のように溜ったものの単なる置き場デス。そっ閉じ必至。

メモⅫ:ナラティブかシステムか

深化したポストトゥルース状況の中心が陰謀論(物語レヴェル)ではなくゲーミフィケーション(システムレヴェル)にあると考えると、いま関東一帯で騒がれている「闇バイト」なども「暇ゲート」と同時代的な現象なのだと考える余地が生まれてくるように思う…

交換様式Dと周辺地域、そして反復強迫:柄谷行人『力と交換様式』へのコメント(後)

前篇からの続き。 Ⅷ 交換と交通の差異 柄谷は、『世界史の構造』では、人間と人間の関係である交換が、人間と自然の関係よりも優位にあり、前者が後者のあり方を一方的に規定すると主張していた。ところが『力と交換様式』では、 M・ヘスの交通概念に着目し…

交換様式Dと周辺地域、そして反復強迫:柄谷行人『力と交換様式』へのコメント(前)

柄谷行人『力と交換様式』(岩波書店、2022年)読了。以下は気になった点についてのコメント。 Ⅰ『世界史の構造』からの変更点 まず『世界史の構造』(岩波書店、2010年)から明らかに立場を変更したと思われる点について。 〇上部構造/下部構造図式の再導入…

愚痴:ADDあるある

この前のセッションでわかったことの確認。これから生きていくためにやらなければならないことを初めてやろうとしたとき、ああ自分には無理だなと直観したものは、今から振り返ると、やはり結局無理だったということがわかってしまった。なぜなら、そうした…

メモⅪ:共産主義者であるということ

確かに歴史上の共産主義(プロレタリア)革命は失敗したのだろう。しかしその失敗は唯一無二で意義深いものであったから、その意義深さを手放さなずに忘れないためにこそ、自分は共産主義者であり続けていると言える。共産主義革命の失敗が意義深かったのは…

メモⅩ:歴史意識の4類型

1 終末意識 冷戦時代ではわりとストレートな終末意識が主流だった。2大超大国による核戦争によって、人類そのものが絶滅してしまう可能性がリアルに感じられていた時代だから、それも当然だろう。また、そうした状況を生んでしまった(西洋)近代文明を拒否…

メモⅨ:露悪性と透明性

今世界で起きているのは、嘘(フェイクニュース)を隠さない露悪性と、秘密(機密情報)を隠さない透明性との間の対立なのではないか。嘘を隠さないのは、別に嘘を隠さなくても相手を恐怖で萎縮させさえすればよいと思っているからだろう。また、嘘を信じる…

監視資本主義の勃興と政治的霊性

コロナ禍がひと段落して以降、本格的に立ち上がってくることが予想される監視資本主義。それに対して私たちはどういう仕方で抵抗していけばよいのだろうか。新たに立ち上がる監視資本主義の全貌が見えない段階では確かなことはまだ何も言えないかもしれない…

2冊の人新世本

2冊の人新世本、篠原雅武『「人間以後」の哲学:人新世を生きる』、斎藤幸平『人新世の「資本論」』読了。同じ人新世について論じているにもかかわらず、両者が見ているところはまったく違っていた。また人新世と人類社会との間の関係の把握の仕方も大きく…

(再掲)メモⅧ:現実、現実感、関係性

前回のエントリーに対する補足。前回のエントリーで示した「理想の時代」、「虚構の時代」、「妄想の時代」、「仮定の時代」のそれぞれの時代における、「現実」と「現実感」(=リアリティ)、そして「関係性」との間の相互の関係について暫定的に少し整理…

メモⅦ :Qアノンとオウム真理教

アメリカの連邦議会になだれ込んだQアノン信奉者や白人至上主義者たちの生態を解説した↓の記事が面白かった。natgeo.nikkeibp.co.jpその中でも特に気になったのが次の指摘。 「まず、彼らのやったことがどんなに激しい暴力であったとしても、ふざけた格好を…

なぐり書き

発達障碍当事者として、1)当事者運動と種々のアソシエーション運動との間の微妙な関係 2)哲学とデザイン(という発想)との間の座りが悪いままの関係 3)ケアリングと資本主義との間の一見対立しているようで実はそうではなくなりつつある関係*1には多…

メモⅥ

ポスト構造主義の隘路? 68年の思想としてのポスト構造主義は、元々は倫理的なものと美的なものとの間の対立を、欲望や快楽というものに依拠することによって乗り越えようとするものだった。しかし現在では、ポスト構造主義は単なる社会/言語構築主義へと…

メモⅤ

「生きる」以降を「生きる」こと 近年、「人新生」という語と共に、人間とは無縁な地球の現実について問われているが、そんな折り篠原雅武『「人間以後」の哲学。人新生を生きる』を読んだ。副題に「生きる」とあるように、人間以後の人間の生を問うている。…

メモⅣ

関係の不在としての敵対性と、展開の不在としての凝固化 関係やコミュニケーションとは、関係やコミュケーションの原理的な不在や不可能性を弥縫する(=隠蔽できないものを無理やり隠蔽するために周縁化、例外化させる)仕方でしかないならば*1、同じく展開…

ただの愚痴

弱さとは無縁な者に限って弱さを尊重すべきだと言い… (左派・リベラル界隈では)自分の強さや有能さに無自覚というか無頓着な者に限って、自分は人間の弱さというものを尊重するぞと堂々と主張したり、あるいは、そうした弱さを尊重しない現在の社会の風潮…

ひきこもりと抵抗Ⅲ:収縮への意志

前回の続き。初回はこちら。 「何ものも意志しないことへの意志」 ドイツ観念論の哲学者F・W・シェリングには『諸世界時代』と呼ばれる草稿群が存在しているのだが、その記述は極めて混乱して錯綜していた。そのため様々な解釈の余地が生じてしまい、一部の…

ひきこもりと抵抗Ⅱ:生きられた現象学的還元

前回の続き。 現象学的還元と決意 さて、メルロ・ポンティは「現象学的還元」について次のように述べていた。「現象学的還元」とは、私がそのなかで生きている一切の自然的断定を、除去するのではなく停止状態におき、言わば作動せしめない、しかもそれらを…

ひきこもりと抵抗Ⅰ:ケアと攪乱

社会に対する抵抗かケアの対象か 「ひきこもり」という現象が注目され、それが深刻な社会問題として取り扱われるようになってから20年以上経った。注目された当初は、ちょうど反グローバル運動が盛り上がっていた頃だったこともあってか、一部のラジカル左派…

メモⅢ

行動経済学と進化心理学の覇権? 最近、行動経済学と進化心理学が学問上の覇権を取りつつあるように見える。そう見える原因に関しては、すでに次のようなことが言われていた。曰く、昔と比べて現代社会は様々な格差や不平等が是正されたため、その分、人間の…

メモⅡ

ラトゥールの思想と統治功利主義 ラトゥールの思想(ANT理論や存在様態論)からすれば、リベラリズムと行動経済学や進化心理学との間の関係を考える際に、市民的公共性による統御と、アーキテクチャやナッジを駆使する統治功利主義との間の対立を設定してし…

メモⅠ

「抵抗」や「革命」について考えるときにどういう考え方をしてはいけないのか 模倣の絶え間ない反復による内破、攪乱(構築主義の戦略)。リセットによってゼロ地点に戻り、一からやり直すこと(「始まり」の反復としての「一からのやり直し」というものを特…

潜在性の2つの側面

別様性と任意性 顕在化した出来事には、その縁暈として常に潜在性がつきまとう。そうした潜在性には次の2つの側面が存在していた。一つは、たまたまそのように顕在化したのは偶然に過ぎず、もっと別のあり方で顕在化しても構わなかったという別様性である。…

無関心、触媒、受動的攻撃性

第1段階:〈無関心、鈍感さ〉の確立。資本の自己増殖がない方がよい立場(オルタ志向の〈非〉のスタンス)でも、資本の自己増殖があった方がよい立場(ネオリベ、金融資本主義)でもない、自己増殖があろうがなかろうが「どっちでもよい、どうでもよい」、…

批評と思想、運動とデザイン

こちらのエントリーの続きデス。 ①かつて(吉本隆明がヘゲモニーを握っていた頃) 「思想」と「運動」の間に挿入される「批評」 「思想」と「運動」の結びつきが前提とされ、両者の結びつき自体が疑われることはなかった。人々に向かうべき方向や目指すべき…

〈間〉〈隙間〉〈閾〉〈狭間〉

〈間〉という特有のポジションは、システムの硬直性から自由になることによって、、当のそのシステムの発生現場にあくまでとどまり続けようとする/システムの発生現場にあくまで留まり続けることによって、当のそのシステムの硬直化から自由になろうとする…

〈反〉〈脱〉〈非〉〈卒〉

現在、〈非〉(無関連化・切断操作)というスタンスを重視する者たちの間では、システムを否定しようとする〈反〉というスタンス(解体、拒絶)が持っていたポテンシャリティを一番継承できるものこそが〈非〉というスタンスだという見方と(おもに運動系)*…

ヘンタイ・パフォーマーたちの存在と機能

もてあました自分の存在をどう受けとめてよいかわからず、また世界に受け入れられたという記憶が乏しいため、世界にどう関わってよいかもわからない。そのため仕方なく、内から迸り出てくる破壊衝動と表現衝動にひたすら忠実に従っていくことしかできない(…

哲学、思想、理論、批評

「哲学」とは、自明とされていることを思考によって捉え返し、それが決して自明ではなくなるような次元にまで至ること、またはそうした次元にあくまで留まり続けようとすること。「思想」とは、物事をより包括的に説明できるよう既存の図式を修正したり、既…

李珍景『不穏なるものたちの存在論』について

あかねでの読書会の告知です。7月21日(木曜)あしぶみいさみさん@AshibumiIsamiによる李珍景『不穏なるものたちの存在論』の読書会を行います。全2回の予定。本を読んでいない方でも参加OK!20時スタート、料理も出ます。乞うご期待!— 早稲田あかね (@…