2019-01-01から1年間の記事一覧
前回の続き。初回はこちら。 「何ものも意志しないことへの意志」 ドイツ観念論の哲学者F・W・シェリングには『諸世界時代』と呼ばれる草稿群が存在しているのだが、その記述は極めて混乱して錯綜していた。そのため様々な解釈の余地が生じてしまい、一部の…
前回の続き。 現象学的還元と決意 さて、メルロ・ポンティは「現象学的還元」について次のように述べていた。「現象学的還元」とは、私がそのなかで生きている一切の自然的断定を、除去するのではなく停止状態におき、言わば作動せしめない、しかもそれらを…
社会に対する抵抗かケアの対象か 「ひきこもり」という現象が注目され、それが深刻な社会問題として取り扱われるようになってから20年以上経った。注目された当初は、ちょうど反グローバル運動が盛り上がっていた頃だったこともあってか、一部のラジカル左派…
行動経済学と進化心理学の覇権? 最近、行動経済学と進化心理学が学問上の覇権を取りつつあるように見える。そう見える原因に関しては、すでに次のようなことが言われていた。曰く、昔と比べて現代社会は様々な格差や不平等が是正されたため、その分、人間の…
ラトゥールの思想と統治功利主義 ラトゥールの思想(ANT理論や存在様態論)からすれば、リベラリズムと行動経済学や進化心理学との間の関係を考える際に、市民的公共性による統御と、アーキテクチャやナッジを駆使する統治功利主義との間の対立を設定してし…
「抵抗」や「革命」について考えるときにどういう考え方をしてはいけないのか 模倣の絶え間ない反復による内破、攪乱(構築主義の戦略)。リセットによってゼロ地点に戻り、一からやり直すこと(「始まり」の反復としての「一からのやり直し」というものを特…
別様性と任意性 顕在化した出来事には、その縁暈として常に潜在性がつきまとう。そうした潜在性には次の2つの側面が存在していた。一つは、たまたまそのように顕在化したのは偶然に過ぎず、もっと別のあり方で顕在化しても構わなかったという別様性である。…